任意整理の具体的な流れ|必要な費用も併せて解説
債務整理の一つとして任意整理が挙げられます。
この任意整理の流れを理解すれば、任意整理が自分にとって最適な手続きかどうか判断することが可能です。
任意整理は、自己破産や個人再生などの他の債務整理と違って、司法書士や弁護士に依頼すれば、自分ではほとんど何もする必要がありません。
任意整理では、債権者と交渉することによって和解しなければならず、一般的に3ヶ月〜6ヶ月程度で和解が成立します。
この記事では、任意整理の具体的な流れや、必要な費用も併せて解説します。
任意整理の具体的な流れ
任意整理の具体的な流れは以下のとおりです。
①弁護士や司法書士に対して相談・依頼をする
まず、弁護士や司法書士に対して、任意整理をすべきかどうかを相談しましょう。
弁護士や司法書士に相談する際に、より具体的で円滑な話し合いをするために、借金の状況や借入先の数、毎月の返済額、自身の収入などが分かる資料を用意しておきましょう。
話し合いをした結果、任意整理を依頼することになったら、弁護士・司法書士と委任契約を結ぶことになります。
弁護士・司法書士によっては着手金が必要な場合もありますので、初回相談の際に金額や支払い方法について確認しておくとよいでしょう。
着手金は通常2万円〜4万円程度ですが、任意整理の相談自体は無料になる場合もあります。
②受任通知を債権者に送る
委任契約締結後、弁護士・司法書士は、債権者に受任通知を送ります。
受任通知とは、弁護士・司法書士が債務者に代わって任意整理の手続きを行うことを債権者に知らせる通知のことを指します。
受任通知を送ると、借金の督促や取り立てを債務者は受けなくなり、一時的に返済がストップします。
これは、貸金業法により、債権者は、債務者から委託を受けた弁護士や司法書士からの通知を受けると、債務者に対する取立て行為を制限することが義務づけられているからです。
なお、受任通知の送付は、原則として依頼を受けた日から3日以内に送付されます。
③債権者に取引履歴の開示の請求をし、債務額の調査をする
受任通知の送付と同時に、債権者に対し取引履歴の開示を求めます。
弁護士や司法書士は、取引履歴をもとに、過去の返済について法定上限金利を超える利息が支払われていないか、現在の債務額、支払い状況などについて調査します。
債務額の調査や取引履歴の開示請求に要する期間は、数週間から2ヶ月程度です。
④引き直し計算・過払い金の返還請求をする
取引履歴をもとに、金利を再計算することを引き直し計算といいます。
引き直し計算の結果、過払い金があることが判明した場合、過払い金の返還請求を行います。
過払い金の返還請求をすることで、借金の元本が大幅に減る可能性がありますので、過払い金があるかどうかの確認は非常に重要です。
交渉がなかなかうまく進まない場合は、過払い金返還請求の訴訟を起こすことになります。
回収された過払い金は、依頼者の報酬から差し引かれ、各債権者への返済の頭金とされます。
⑤和解案の作成をする
引き直し計算で算出された金額と過払い金返還請求の結果をもとにして、債権者との和解案を、弁護士や司法書士が作成します。
和解案とは、債務者の残高や返済能力を鑑みて、減額や返済期間の延長、借金の利息のカットなど、債務者が無理のない程度に返済できるようにするための返済計画書のことを指します。
債権者との交渉は、和解案に基づいて、債権者と債務者の弁護士・司法書士のみで行われます。和解交渉は、一般的に3ヶ月程度かかります。
⑥和解不成立の場合は特定調停をする
債権者が和解案に応じず、交渉がうまくいかない場合は、特定調停をおこなうような場合があります。
特定調停は、簡易裁判所が債務者と債権者の和解を仲裁する仕組みを指し、3~4ヶ月の期間を要します。
特定調停は債務者本人が行うのが原則ですが、代理人を立てることもできます。
⑦返済を開始する
債権者との交渉が成立すると、両者が合意した条件に基づき和解契約が締結されます。
和解契約締結後、債務者は契約内容に従って返済を開始します。
返済総額によってそれぞれ異なりますが、任意整理の返済期間は、基本的には3~5年程度です。
この記事では任意整理の具体的な流れについて解説しました。
任意整理は債務整理の一種で、債権者と有利な条件で交渉することで借金の減額を目指します。
任意整理は弁護士や司法書士に依頼せずに行うことができますが、和解交渉にあまり慣れていない個人は債権者と和解できず、借金を減額できない可能性が高くなります。
任意整理を成功させるためには、信頼できる弁護士や司法書士に依頼することが大切です。
弁護士家本誠(藤枝やいづ合同法律事務所)は、静岡県内の皆様から、任意整理についてのご相談を承っております。
豊富な知識と経験から、ご相談者様に最適な解決方法をご提案させていただきます。
任意整理でお困りの際はお気軽に当事務所までご相談ください。
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弁護士紹介
弁護士・家本 誠(いえもと まこと)
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- 自己紹介・メッセージ
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事件の御相談や御依頼の際には、ご自身が事件で悩まれていること、不満に思っていること、どのように解決をしたいと考えられているのか、何でも一緒にお話をしてより良い解決を目指したいと思います。特に交通事故、労働災害、医療事故等では、精神的にも非常に苦しい状況に追い込まれる場合があると思いますので、十分な時間をとって相談に応じたいと考えています。
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- 経歴
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- 1965年 8月6日生まれ
- 1984年 静岡県立静岡東高等学校卒業
- 1984年 早稲田大学法学部入学
- 1988年 早稲田大学法学部卒業
- 1993年 司法試験合格
- 1997年 弁護士登録(49期)
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- 所属団体等
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- 静岡県医療安全相談窓口運営協議会委員
- 静岡県弁護士会消費者問題委員会委員(平成16年、17年度委員長)
- 静岡県弁護士会司法支援センター委員(平成20年、21年度委員長)
- 日本司法支援センター静岡地方事務所扶助審査委員(平成21年度審査委員長)
- 平成21年10月から平成24年3月迄日本司法支援センター(法テラス)静岡地方事務所副所長
- 平成24年度静岡県弁護士会静岡支部幹事長
- 平成25年度静岡県弁護士会副会長
- 平成25年7月から静岡県立こども病院倫理委員会委員
- 静岡市感染症診査協議会委員
- 財団法人日弁連交通事故相談センター静岡県支部審査委員
- 静岡境界紛争解決センター(ADR)調停員
- 静岡大学人文学部非常勤講師(平成13年、14年度)
- 静岡大学法科大学院非常勤講師(平成19年、20年、21年度)
- その他 静岡医療事故研究会、静岡県交通事故被害者弁護団などに所属
事務所概要
事務所名 | 藤枝やいづ合同法律事務所 |
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代表者名 | 家本 誠(いえもと まこと) |
所在地 | 〒426-0031 静岡県藤枝市築地838 落合電気ビル2階 |
電話番号・FAX番号 | TEL:054-625-8700 FAX:054-625-8699 |
対応時間 | 【平日】9:00~17:30 【定休日】土日祝 |